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ブログ 【天使のダンスと悪魔のダンス】

🌸天使のダンスと悪魔のダンスから見る人間関係心理

心理カウンセラー 金崎/心理カウンセリングサロンLuana


1.私たちはいつも、見えない「心のダンス」を踊っている

人と関わるということは、まるでダンスのようです。
相手が一歩踏み出せば、自分も合わせて動く。
笑顔を向けられれば、自然と自分も笑顔になる。
逆に、怒りの言葉をぶつけられれば、防衛的になってしまう。

この「心の動きの連鎖」を、心理学ではしばしば“ダンス”と表現します。
そして、そのダンスには2つのリズムがあります。

ひとつは、信頼と優しさが生み出す「天使のダンス」
もうひとつは、恐れや不安が引き起こす「悪魔のダンス」

どちらも、誰もが経験する人間関係の中に存在します。
この2つのダンスを理解することは、他人を責める前に、
自分の内側を見つめ、心の仕組みを知る第一歩になります。


2.天使のダンス ― 共感と信頼のリズム

「天使のダンス」は、安心感や信頼をベースにした関係性の中で生まれます。
お互いが「この人は私を大切にしてくれている」と感じる時、心は自然に開きます。
その安心感が、さらにやさしさや思いやりを引き出す。
これが“ポジティブな相互作用”のサイクル、つまり天使のダンスです。

たとえば――
・相手の話にうなずきながら耳を傾ける
・「ありがとう」「うれしい」と気持ちを言葉にする
・間違いや失敗を責めずに、理解しようとする

そんな小さな一歩が、相手の心に信頼のリズムを響かせます。
心理学的には、**安全基地(secure base)**が形成されている状態とも言えます。
これは、愛着理論でいう「安心してつながり、自由に離れられる関係」です。


3.悪魔のダンス ― 恐れと防衛の連鎖

一方、「悪魔のダンス」は、無意識の恐れや不安から始まります。
人は誰でも、心の奥に「拒絶されたくない」「見捨てられたくない」という不安を抱えています。
その不安が刺激されると、防衛的な態度をとってしまう。
そしてその防衛が、相手の不安をさらに刺激する――これが悪魔のダンスです。

たとえば、恋人や家族の間でこんなやりとりがあります。

「どうして連絡くれないの?」
「いちいち責めるなよ!」

実はどちらも、心の奥では「愛されたい」「わかってほしい」と願っている。
でも、表現がすれ違うことで、互いに傷つけ合ってしまうのです。

これは、愛着の不安や過去の経験(トラウマ)が関係していることもあります。
怒りの裏には、いつも“悲しみ”や“寂しさ”が隠れています。
悪魔のダンスを終わらせる第一歩は、相手の怒りの奥にある本当の感情を見抜く力です。


4.ユング心理学に見る「光と影」のダンス

ユング心理学では、人の心は「光(意識)」と「影(無意識)」の両面を持つといいます。
光の部分は、優しさ・思いやり・理性。
影の部分は、怒り・嫉妬・支配・恐れなど、普段は隠している感情です。

天使のダンスは、光の側面が他者と共鳴する時に生まれます。
悪魔のダンスは、影の側面が他者の影と引き合う時に始まります。

ユングは言いました。

「自分の影を見つめることができる人こそ、光を持つ人である。」

つまり、悪魔のダンスを否定するのではなく、
「なぜ自分はこの感情を持ったのか?」と見つめることが、真の成長へつながるのです。


5.対人関係の“心理的ダンス”を止めるには

心理学では、関係が悪化するパターンを「ネガティブ・ループ」と呼びます。
それを止める鍵は、「意識化」と「共感」です。

① まず“気づく”

「私は今、相手を責めてしまっている」
「怖くて距離をとっている」
――このように、自分の行動を冷静に見つめること。

② 感情の奥にある“本音”を探る

怒りの奥には「寂しさ」や「不安」がある。
その気持ちを自分で認めると、心が少し柔らかくなります。

③ 相手に“気持ち”で伝える

「怒っている」ではなく、「寂しかった」と伝える。
すると、相手の防衛が溶け、天使のダンスが再び始まります。


6.カウンセリングでも起こる「見えないダンス」

カウンセリングの場でも、天使と悪魔のダンスは静かに起こります。
クライエントがカウンセラーを理想化したり、
逆に反発したりする「転移」。
そして、カウンセラー側にも起こる「逆転移」。

それは、単なる感情のぶつかり合いではなく、
クライエントの心の歴史を再現している“心のドラマ”なのです。

このときカウンセラーは、感情に巻き込まれず、
静かに見つめ、クライエントが「自分のダンス」に気づけるよう導きます。
気づいた瞬間に、ダンスのリズムは変わり始めます。


7.「良い人」でいようとしすぎる人へ

「天使のダンス」ばかり踊ろうとすると、無理が生じます。
いつも優しく、いつも我慢して、いつも笑顔で……。
そんな完璧な“天使”を演じ続けると、
心の奥に押し込めた“悪魔”がやがて暴れ出します。

怒りや嫉妬は悪ではなく、自分を守るためのサインです。
「もう我慢できない」「疲れた」と感じたら、
それは心が「ちゃんと見て」と叫んでいる証拠。

Luana(ルアナ)とは、ハワイ語で「リラックス」「くつろぎ」「一緒に楽しむ」という意味。
自分の中の天使も悪魔も、どちらも抱きしめてあげる。
それがLuanaの目指す“心の癒し”です。


8.悪魔のダンスを光に変える3つのステップ

① 怒りの奥を感じる

「なぜこんなに腹が立つのか?」ではなく、
「本当はどんな気持ちをわかってほしかったのか?」と問いかける。

② 相手もまた不安を抱えていると知る

悪魔のダンスは“どちらかが悪い”のではなく、
“どちらも傷ついている”ことから始まります。

③ 新しいリズムを作る

完璧に変えようとしなくても大丈夫。
たった一歩、自分の踊り方を変えるだけで、
相手のステップも自然に変わっていきます。


9.天使と悪魔は、あなたの中で手を取り合える

私たちは、「天使のように優しい自分」と「悪魔のように怒る自分」を分けて考えがちです。
けれど、どちらも本来は同じ“あなた”です。

怒りがあるからこそ、優しさが深まる。
恐れがあるからこそ、勇気が輝く。
傷ついた経験があるからこそ、他人に寄り添える。

カウンセリングの目的は、天使になることではありません。
悪魔を追い出すことでもありません。
どちらも自分の一部として受け入れること。
それが本当の「自己受容」であり、「癒し」なのです。


10.Luanaからのメッセージ

人間関係は、日々の中で繰り返されるダンスのようなもの。
時に軽やかに、時にぶつかり合いながら、私たちは成長していきます。

もし今、誰かとの関係で苦しさを感じているなら、
それは悪魔のダンスがあなたに「心を見つめて」と語りかけているサインかもしれません。

そのダンスの中に、“変化のきっかけ”が必ずあります。
そしてその一歩を踏み出すあなたを、Luanaはいつでも応援しています。


🌿天使も悪魔も、あなたの中で共に踊っている。
どちらも、あなたが生きてきた証。
光と影がひとつになる時、人は本当の意味で自由になるのです。

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