悩むのは当たり前 〜大脳生理学で読み解く心の仕組み〜
はじめに:なぜ人は「悩む」のか?
プロフェッショナル心理カウンセラーの金崎です。
「なんで私はこんなに悩んでしまうんだろう?」
「もっと強い心を持ちたい」
そう感じたことはありませんか?
結論から言えば、悩むのは人間にとって“当たり前”のことです。
なぜなら、人間の脳の仕組みそのものが「悩むようにできている」からです。
今回は、大脳生理学の観点から「なぜ人は悩むのか」「どうすれば悩みと上手に付き合えるのか」をわかりやすく解説します。
1.脳は常に「危険回避」を最優先している
私たちが悩む最大の理由は、脳が常に“安全”を最優先するように働いているからです。
特に大きな役割を果たしているのが「扁桃体(へんとうたい)」です。
● 扁桃体の働き
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扁桃体は、脳の中で“危険探知機”のような役割をしています。
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些細な変化や情報に対しても、「危ないかもしれない」と判断すると、すぐに不安や恐怖を感じるよう信号を出します。
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たとえば、上司に呼ばれただけで「怒られるかも」と思ったり、友達からのLINEが既読スルーされると「嫌われたかも」と不安になるのは、扁桃体が過敏に反応しているからです。
つまり、**悩みや不安は“危険から身を守るための大切な機能”**なんです。
2.大脳新皮質は「考えすぎる」機能を持つ
一方で、私たち人間が“悩みすぎる”原因をつくっているのが大脳新皮質です。
● 大脳新皮質の役割
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人間は他の動物に比べて大脳新皮質が非常に発達しています。
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この部分は「思考・判断・未来予測」を担当しており、想像力を働かせることができます。
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しかしその結果、「起きてもいない未来」について過剰に不安を感じることがあります。
たとえば、
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「もし失敗したらどうしよう」
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「あの人に嫌われたかもしれない」
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「将来、このまま一人だったらどうしよう」
こうした“まだ起きていないこと”を延々と考えてしまうのは、大脳新皮質の働きによるものです。
3.前頭前野の「コントロール機能」が疲れると悩みが増える
脳の中でも「前頭前野」は、“理性”や“感情のコントロール”を担当する部分です。
しかし、ストレスが溜まるとこの前頭前野が疲れてしまい、扁桃体の暴走を抑えられなくなります。
● 前頭前野が疲れる原因
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睡眠不足
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情報過多(SNS・ニュース)
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過剰なストレス
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マルチタスク
こうした要因が重なると、脳は「不安モード」に切り替わりやすくなり、悩みがどんどん膨らみます。
4.「悩む=悪いこと」ではない
ここで大切なのは、**「悩むことは悪いことではない」**という視点です。
脳科学的には、悩むことで次のようなメリットがあります。
● 悩むことのプラス面
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危険を回避する
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より良い選択肢を考える
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他人への共感力を高める
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成長や変化のきっかけになる
「悩むこと=ダメなこと」と思い込むと、さらに自己否定につながり、悩みが深くなります。
まずは、**「悩むのは人間らしい自然なこと」**と受け入れることが、心を軽くする第一歩です。
5.悩みすぎを防ぐ3つの脳科学的アプローチ
では、どうすれば「悩みすぎ」から抜け出せるのでしょうか?
大脳生理学に基づいた方法を3つご紹介します。
①「今ここ」に集中する(マインドフルネス)
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呼吸に意識を向けることで、前頭前野の働きが安定します。
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過去や未来ではなく“今”に意識を戻すと、扁桃体の過剰反応が抑えられます。
② 悩みを「書き出す」
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頭の中で考え続けると大脳新皮質がフル稼働し、疲労が溜まります。
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紙に書き出すことで、思考が整理され、前頭前野が冷静さを取り戻します。
③ 「人に話す」ことで扁桃体を落ち着かせる
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悩みを信頼できる人に話すと、脳内で「オキシトシン(安心ホルモン)」が分泌されます。
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これにより、不安を感じる扁桃体の活動が抑えられ、自然と心が軽くなります。
6.心理カウンセリングの役割
悩みを一人で抱え込むと、大脳はどんどん“危険信号”を強めます。
そんなときこそ、心理カウンセリングが効果的です。
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専門家に話すことで、悩みの客観視ができる
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扁桃体の過剰反応が落ち着く
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前頭前野の働きが回復し、解決策が見えやすくなる
TKN心理サロンや心理カウンセリングサロンLuanaでは、大脳生理学の知識をベースにしたカウンセリングを行っており、「悩むのは当たり前」という視点を大切にしています。
「悩んでしまう自分を責めてしまう」という方にこそ、カウンセリングを受けていただきたいです。
まとめ:悩むのは「人間らしさ」の証拠
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悩むのは、脳が危険から守ろうとする自然な働き。
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大脳新皮質や扁桃体、前頭前野の仕組みを知ると、悩みと上手に付き合える。
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「悩む自分はダメだ」という思い込みを手放すことで、心がラクになる。
もし今、悩みが大きくて動けないと感じるなら、ぜひ一度専門家に話してみてください。
心理カウンセリングは、脳を安心モードに戻すための強いサポートになります。
「悩むのは、あなたが弱いからじゃない。
脳が一生懸命、あなたを守ろうとしているから。」
自分を責める前に、まずは脳の仕組みを知ってみることから始めてみませんか?